坐骨神経痛って聞いたことがあるでしょうか。
おしりから太ももの後ろが痛くなる坐骨神経痛とは、実は正式な病名ではなく症状の名前なのです。
坐骨神経痛の原因となる病気の代表が、腰椎椎間板ヘルニアです。
椎間板ヘルニアとは?
椎間板というのは、「髄核」と「繊維輪」という2種類の成分からできており、背骨と背骨の間でクッションの役割を果たします。
たとえるなら、お菓子のご○そうろう。
実際はアンコというよりは固めのゼリーに近い髄核という成分が、繊維輪という皮の中に入っています。
ヘルニアとは「脱出」という意味で、傷んでしまった椎間板が神経のとおりみちに脱出すると神経痛がでます。
- 腰やおしり、脚に痛みやしびれが出て、歩けない。
- 長時間立っていられない。
- 前かがみがつらい。
中には座っていることが出来ず、診察室でずっと立っている方もいらっしゃいます。
ヘルニアの種類
レントゲン検査も参考にはなりますが、椎間板はレントゲンには映りませんので出ているヘルニアが見えるわけではありません。
本当の意味での診断に一番役に立つのはMRI検査で、出ているヘルニアとそれによって圧迫されている神経を見ることができます。
ヘルニアの出方によって、いくつかに分類できます。
もっとも出方が強いものを脱出型といいますが、むしろ完全に脱出してしまっている方が実は自然に吸収されることが期待でき、経過がよいと言われています。
逆に小さな突出の方が、症状が長引くケースがあります。
ただ、初期には非常につらかった症状は、だんだん良くなっていくことが多いです。
治療について
初期の症状がつら過ぎたり、ある程度よくなってからも日常生活に支障が出るほどの症状が残っている方には手術をお勧めしますが、腰椎椎間板ヘルニアで手術が必要となる方は1、2割というのが実感です。
保存治療
ですので、まず最初の治療は保存治療(手術以外の方法)になります。
薬物療法
薬の治療には、神経痛を抑える薬や通常の消炎鎮痛薬など様々な薬があります。
特に神経痛を抑える薬は、眠気などの副作用がありますがすぐに止めてしまわず一定期間つづけることで効果が出てくることが多いです。
症状が強い時期にはいくつか組み合わせるのも効果的で、症状がよくなると薬の量も徐々に減らしていきます。
ブロック注射
当院では薬物療法やリハビリテーションに加えて、尾てい骨の近くからの仙骨硬膜外ブロック(診察室や処置室で行います)や、神経根ブロックという痛みの原因になっている神経を狙い撃ちするブロック(レントゲン室で透視装置を用いて行います)で症状の緩和をはかります。
この神経根ブロックという治療は痛みを抑える効果が大きいのはもちろんのこと、診断にも役立ちます。
例えば第5番の神経根ブロックで痛みがとれれば、その5番の神経が痛みの原因になっていることがわかります。
ブロック効果が長続きすれば、それにこしたことはありません。
ただブロック効果はすぐに切れたとしても、一日でも痛みがかなりとれていれば、その神経が原因と考えることができます。
わるいところがわかることは、手術になる場合にも大いに役立つ情報です。
当院では簡易なものではありますが一般的なクリニックでは珍しい透視装置(レントゲンを見ながら処置ができる機械)を導入しておりますので、精度の高い神経根ブロックが可能です。
手術
手術など特別な処置が必要な方は連携している病院へ紹介いたします。
手術の方法は、従来の切開する方法、内視鏡や顕微鏡を使う方法など、紹介先の病院や医師の治療方針によって様々です。
最近は椎間板内に酵素を注入する治療もあります。
紹介先の専門医の先生とよくご相談されるのが良いでしょう。
もりのみや整形外科では、整形外科専門医・脊椎脊髄外科専門医である院長による診療と、理学療法士(PT)によるリハビリテーションを実施しております。
ちょっとした身体の不調でもお気軽にご相談ください。
スタッフ一同、チームで患者様の健康をサポートいたします。